ピーチと散歩に行くいつもの公園へ続く道すがら、古い都営住宅があります。もう何十年もそこに建っている、とても古い都営住宅でしたがもう何年も人が住んでいる気配がないところでした。
昨日そこを通りかかると、入口のところに沢山の粗大ゴミが。。。 それを見ると「やはり何年もここには人が住んでいなかったのでは」との思いを新たにしました。とにかく、粗大ゴミで出されている家具がまるですべて昭和の映画セットのようなのです。 壊れた箪笥、段ボール、古めのデザインの食器、スチールイスなど。ついつい、先を急ぐピーチをいさめて、足を止めてしまいました。 その中に、ほこりにまみれたお茶の木箱があったのです。真っ黒でしたが分厚い木の板でつくられていて、蓋の周りには、昔のお茶の葉が入っていた時の装飾だったと考えられる、お茶っぱの絵が書いてある紙が茶色くボロボロになってかすかに残っていました。箱の横にはってある、これまた古いラベルには「1958年」の表示が。私よりよっぽど年代物(?) せっかくピーチと「天気がいいから一緒に散歩にでようね!」といって家を出てきたのに、その後は公園に行っても「あの箱」のことが頭から離れなくなりました。つくづく貧乏性の私(^^ 結局、散歩中もいろいろ考えて「よし、持って帰って玄関においてモノ入れにしよう!」と決意。帰り道はいつもと変えてその都営住宅の前に戻ってきました。思いきって手に取ってみると、蓋の上にはなにやら達筆な文字がサインペンでたくさん書いてありました。何が書いてあるのかわかららないけれど、非常に個人的な、人にかかわる情報が書いてあるように見えたのです。 よくよく考えてなんか、それを持って帰るのは辞めました…。なんだか「誰かのもの」というか、「人の念」みたいなのを感じる気がしちゃって。ウチに来ちゃったらもしかしたらいるべきところでなくなっちゃうような。結局粗大ゴミの回収にだされていたのだから、「いるべきところ」に還るようなものではなかったのだけど。 それにしても、なぜ日本では古ければモノの価値がなくなってしまうんでしょうね。蓋にある宛名のような文字さえなければ、間違いなく私、持って帰ってきただろうなぁ。古いものってそれだけの「時」に耐える造りの確かさ、デザインの普遍さ、そして使い込んだことによる味が感じられるんですよね。 自分が家を建てる時には、絶対あっちこっちから古いものをかき集めてきてしっぽりとした空間をつくりたいものだと思います。
by nicecuppatea
| 2009-04-10 22:17
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