美しい剪定枝

先週末、山梨の家にいた時、久し振りに地域の農産物もちより市場、「農てんき」へ顔をだしました。近所の人がつくって安く販売しているしいたけがお目当てでした。

ここへ行くのはピーチも大好き。夏に行けば桃が食べ放題、秋には蒸した里芋やブドウ…と、お店のおばさんも何かとピーチにお土産をくれるので、お腹でよく覚えているカンジです。

「悪いわねぇ、今はなにもあげられるものがなくって」と言いながら、「そのお花、もっていってね」。

レジの隣には大きなつけもの樽がふたつ置いてあってそこには深紅色の桃の枝にびっしりとグレーの毛につつまれた桃のつぼみがついた枝がどっさり水につけてありました。

このへんの桃農家ではこれくらいの時期も、まだ桃の剪定をしている農家が多いのです。切り落とされた枝についているグレーの毛玉くらいの大きさの桃のつぼみは、そのまま水につけておくとだんだん大きくなり、真ん中からはピンクのシルクみたいな花びらが見えてきて、徐々にほつれてついには花瓶の上で鮮やかなピンクの花を満開に咲かすのです。
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一度咲こう!と思った花の勢いは、枝を切っちゃっても止められないのですね。

この時期切った桃の枝を水につけておけば花が咲く、というのは農家の人がみんな知っていること。でも、この時期以降、桃の花の摘蕾、摘花、摘果と追われる桃農家の人たちにしてみれば、「木についている桃」の世話をするので精いっぱい。切ってしまった枝にどんなきれいな花が咲くのであってもそれは正直、かかわっている時間も労力もない…のだと思います。

「農てんき」の素敵なところはこういう農家のやむを得ない落し物も目いっぱい活かしていること。剪定くずであっても、その枝を部屋に飾るだけでうれしい春の気配を一杯に感じられる人がどれほどいることでしょう。それを「ただで持っていけるように」するなんて、どんな高級スーパーでもできない、地元だけの、粋な計らい。

二束も桃の枝をもらって家に帰ってきて庭の剪定屑の山をみたら、ずいぶん前に切ったモクレンの徒長枝の先についた白モクレンのつぼみがほころびつつあるのを見つけました。桃の枝と一緒に大事に東京までもってきて一緒に瓶に活けてみました。モクレンなんて、今まで木のてっぺんでたくさん咲いている花、としか思わずまじまじと見たことがなかったけれど、一夜あけてさらにほつれてきたモクレンの花は、さながらカメオ細工。
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by nicecuppatea | 2009-03-25 21:19 | 暮らしのアイデア | Comments(2)
Commented by burnethill at 2009-03-26 21:59
こんなやさしい心使いのある市場っていいですね。用がなくてものぞいてみたくなりますよね。地元のおいしい野菜の置いてある無人スタンドが近くにあっても、「監視カメラあります」なんて張り紙があったりすると、野菜までまずそうに見えたりもしますしね。
Commented by nicecuppatea at 2009-03-26 22:38
Burnethillさん、そうなんですよ。ここのおじさんは「農家の庭の片隅で作ったけれど使えない野菜をできるだけみんなに有効につかってほしい」という考えで近所の人に呼びかけてこの場をつくったそうです。私は自分で作れない作物はできるだけここで買いたいなと思っています。ほとんどの者が無農薬ですし、こういう心意気はなんとしても応援したいなと感じてしまいます。家のそばにこんなのあったらいいけど、やっぱり地元でこそできる技ですよね。
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