ツルの気持ち

この週末、ようやっと先々週に伊豆の山でとってきたアケビのつるでバスケットを編む時間がとれました。前日に風呂桶にお湯を溜めて、そこにツルを浸して、一晩付け置き。

今回は、黒っぽいツルと赤茶のツルがあったので、ツートンカラーのバスケットを。
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バスケットをつくる面白さのひとつは、それぞれ扱うツルや枝の素材の違いを肌で感じることにあります。畑でとれた桃の枝、梅の枝などは切ったらすぐ使わなければ柔軟に曲げることは難しい…。

葛は太くともやわらかくて、しわしわの表皮、ざっくりした感じが特徴的ですがあまり強度はない。ハニーサックルは表皮はけばけば。でも茹でるとするりと向けて中から白いきれいなツルが顔を出します。ツルの中は空洞なので、こちらもあまり細かい細工には向きません…。イギリスでは、やはり伝統的にバスケットに使われるウィロー(柳)、フェンスやかやぶき屋根のペグに使われるヘーゼルが「従順」でした。

ウィローなどは長い、まっすぐな枝を束のまま2週間位水につけてから使います。イギリスのカントリーサイドでは、なぜか家の外に古いバスタブが置いてある所が多い(笑)、家畜の水のみにしたりとか。(かなりの田舎での話ですね)。

私が働いていたナーセリー(苗木屋)にも、バーンとよばれる納屋の外にバスタブがありました。バスタブの大きさがあればウィローの長い枝もまっすぐそのまま入ります。

イギリスで、結構太いへーゼルの枝でフェンスを編む時には、まずネジって繊維をほぐしてから曲げると、思い切って曲げてもポキリと折れることはありませんでした。日本の藤やその他のツルでバスケットを編む時も、よくよくつるをみてみると木肌の「流れ」が見えるもの。それに沿った方向にツルや枝をよじりながら曲げたり編んだりすると、けっこうツルが言うことを聞いてくれます。その流れに背いて無理に曲げようとすると、裂けたり折れたり。

ツルの気持ち(?)を考えつつ、ゆっくりとバスケットを編み、言うことを聞いてくれたときのうれしさ♪

さて、昨日編んだアケビ。東京の一人住まいにほぼ等しい集合住宅の一室では、ウィローの枝を全部水に浸すほどのスペースはありませんが、くるくると輪にして保存したアケビならウチの風呂桶にも入ります(^^それにしてもアケビは優等生。大抵のことをされても従順にこちらの言うことを黙って聞いてくれる。しかも強く、長く、しなやか。

イギリスでバスケットを編むといえばウィロー、ハードル(フェンスみたいなもの)編みといえばへーゼルでした。どちらもカントリーサイドで最も一般的に見られる植物たちです。日本で籠といえば、アケビか竹でしょうか。イギリスには葛もアケビも竹もなかった(少なくともカントリーサイドには)。やはり先人は自分の風土の中でどの木や枝なら、いいものができるか、いろいろ試して、その結果今に伝わる伝統的な工芸品になってるんでしょうね。
by nicecuppatea | 2009-02-18 08:21 | バスケット編み | Comments(0)
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