月夜の楽しみ

寒い夜というのは、甲府盆地の真ん中の場合、たいてい雲のまったくない夜です。そんな夜はとても寒いけれど、月が楽しめる夜でもあります。

都会にいると、あまり月の明るさとかって感じないものです。特に会社の周りはネオンが煌々と光る繁華街もあり、帰宅の時住宅地を歩けば、暗闇のスポットがないように数メートル間隔で街灯があります。(もちろんそれで安全だと感じるのですが…)夜は暗い…けれど電気があれば暗くない、都会に暮らすとついついそんな気になります。

山梨の家に滞在する週末、雲がなく月が高い夜は、ピーチを連れて街灯がまったくない桃畑へ夜の散歩に出かけます。
このあたりは甲府盆地のど真ん中。あたり一面に桃畑が広がり、その間を農道が網の目のように走っています。15分も歩けば川原に出ることもあり、昼間もかっこうの散歩道。収穫用に低く誘引された桃の木が道の両側から枝を伸ばし、春、夏、秋、冬と、違った色に囲まれた小径になります。

この時期の景色の色は「透明」。まだ冬の剪定を終えていない桃の枝は夏に伸びた形のまま、桃にかぶせていた白い紙の「袋」だけが花のようにまだ枝に残っていますが、全ての葉が落ち、枝がすけすけになった結果、はるか遠くの山肌の人家まで見通すことができるからです。夏はこんもりした緑の葉が回りの視界を覆って、まるで遠くは見えないのですが。

月のある夜、この真っ暗で葉っぱが全部落ちた桃畑を散歩すると、上空の月が道を照らして影ができるほど。街灯などなくても十分桃の畑の中を散歩できます。360度周りを山に囲まれたすり鉢状の盆地の真ん中だから、遠くの山肌の人家の光が葉の落ちた桃の枝の間から星のように見えます。音は全くないのですが、時折数キロ先を走っている中央本線の電車の音が聞こえたりします。昼間は聞こえないのに、夜になると遠くの音って聞こえるものです。

たかが月の光なんだけど、自然の光、ってなぜこう、うれしくなるんですかね?
by nicecuppatea | 2008-12-09 20:28 | 里と野山 | Comments(2)
Commented by burnethill at 2008-12-11 21:01
山梨の夜空の美しさは驚異的です。天の川をどうして英語でミルキーウェイというのか心から納得したのは、こちらに移住して白く輝く天の川を始めて見た時でしたし、月夜に草原が霜が降りている様に輝いているのにもいつも感動しています。まあ近くに明かりが少なくて夜が暗いからなんですが、、、ある時、散歩がてら夕食に出かけられたお客様が、日も暮れてしまった帰り道の、鼻をつままれても分からない様な濃い闇に道に迷いつつ、やっと家にたどりつかれておっしゃるには、「あーこわかった。ここは八つ墓村か!」ですって。
でも闇は濃い方がいいですよね。
Commented by nicecuppatea at 2008-12-11 22:18
Burnethillさん、
月に輝く草原の霜、なんてとても素敵ですね!ウチの畑はなんだかんだ言っても人家の明かりもそう遠くないところにあるので。暗闇が存在しないように照明がいっぱいある社会から、「自然の暗闇」が存在する場所へ行くと、それを「いいなぁ」という気持ちになるまで、時間がかかる、というのもわかるような気がしますよね。不思議なもので、一度「いいなー」と思うと、だんだんそれが好きになっていくような。今晩の満月が、東京の散歩道でクリスマスのイルミネーションの枝の間から見えた時はなんだかちょっと、もったいない気がしました。
<< 自分のメシは自分で稼ぐ 本格的な冬が来た! >>