同じコミュニティの敷地内に大きなプラムの木があることには、春先から気付いていました。
サクラより白くまばらに、可憐な花が咲き、その後モモの葉より少し丸めの葉っぱが芽吹いた頃から、どんなプラムがなるのだろう…と、人知れず楽しみにして、会社の行き帰りには意識的にその木の下を通ったりしていました。それにしても、こんな大きなプラムの木が庭先に生えているお宅は、なんて幸せなんでしょう。 どうしてかわからないけれど、イギリスのカントリーサイドに滞在した頃から、無性にプラム類に惹かれるようになりました。 気候的なものなのか、イギリスにはたくさんの種類のプラムがありました。その王座に君臨するのは7月が出盛りのビクトリア・プラム。なんてったって女王様の名前を戴いたプラムですから。ぷっくりと張った実は熟すと黒に近い濃紺になり、果肉までもがワインレッドに。いかにも立派な「果物」でした。 ただ、イギリスのプラム類の本当の魅力は、売り物のプラムではなく、ヘッジと呼ばれる生け垣に植えられている「野生の実」っぽい種類にあるような気がします。そのバラエティーたるや。サクランボより少し大きいチェリープラムや、ミロバランプラム、小ぶりだけと濃紺が美しいダムゾン、「木の実」にしてはおいしすぎるけど、「果物」というには野性的すぎ。この中間に位置するからこそ、とても魅力的に感じられるのかも。 今、日本で巷にでまわる大きくて甘い果物は、「果物」の域を通り過ぎて「お菓子」といえるくらい甘くて、その生産にもたくさん人の手がかかっています。そういう果物がスーパーの棚にたくさん並ぶ時代だからこそ、薬をかけなくても、人工受粉しなくても、肥料をやらなくても、小ぶりな実をびっしりつける、たくましく野性的で甘酸っぱいプラムに惹かれるのかもしれません。 さて、ご近所のプラムの木。どうやら生えているお宅は私ほどのプラム好きではなく、むしろ熟した実が道路に落ちて道を汚すことを心配された様子。この間、大家さんの会社の人が、クレーン車をだして実を全部収穫し、ご近所一帯に配っていました。ウチにもその恩恵が! 嬉しく思いつつ「こんなに青かったら酸っぱくて食べれないだろうなあ」と思っていましたが、数日置いたらこの通り! イギリスのヘッジで摘み取った野性的なプラムを思い起こすような野性的甘酸っぱさ。 これからしばらくは通勤途中に丸かじりを楽しもう。
by nicecuppatea
| 2010-07-18 18:53
| おいしい実
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