最近、すぐお向かいの家の、取り壊しが決まったらしいのです。先日お宅からたくさんの荷物が外へ出されていると思ったら、昨日は大きなお庭の周りにあったたくさんの木が伐採されていました。。。
家屋もそうなんだけど、私としてはそれよりもしかして長いことそこにいたかもしれない「大きな木」が当然のこととして伐採されることに、なんともいえない息苦しさを感じます。家がなくなったら、当然のようにそこにあった木も一緒になくならないといけないんですかね。 前にも書いたかもしれませんが、もともとそんなに大きな木が素敵だとか、木を切るべきでない、なんて思うタチの人間ではなかったのですが、どこに行っても大きな木がたくさん残っているイギリスでの生活を経て、大きな木がそばにあるって、何だかずいぶん居心地のよくなるものなんだなぁ、と感じるようになったのです。 イギリスのカントリーサイドの象徴的な木としてよくシンボルマークなどにも使われるイングリッシュ・オーク、日本名ではヨーロッパナラと呼ばれる木があります。以前友人宅にある巨大な木の写真をアップしたことがありましたっけ。 このイングリッシュ・オークは成長するのに300年、成熟するのにさらに300年、それから優雅に老いていくのにさらに300年かかって寿命を迎えるのだそうです。これは極端な例かも知れないけれど、一般的に言って木の一生ってのは、人間のそれより随分ながーーいスパンであることが多いみたいです。 そう考えると、木の寿命を、敢えて人間の寿命または人間の建物の都合に併せるのは、何だかずいぶん身勝手なことに思えてきます。そんなことはさて置いても、先ほど書いたみたいに都会の中で大きな木が残っている、というだけで随分人はいい気分になると思うんだけど。 これを実感させてくれる場所が結構家の傍にありました。ここは文京グリーンコートといわれるスーパーや飲食店と住居棟の集まった場所ですが、もともと理化学研究所の発祥の地。科研製薬の本社のある敷地でした。私の子供の頃は、重々しい門の後ろ、大きな木々の生えた前庭の奥に建っている重々しい建物が、子供なんか寄せ付けない雰囲気を醸し出していたものです。 時代は流れてその敷地が売却され、数年前、再開発されました。その際、以前前庭にたくさん立っていた大きな木がほぼ全部そのまま保存されたのです。 太く、背の高いイチョウなどの木々がたくさん残されて、さながら大通りに面した林のよう。その下の地面にはセンスよく木製のブロードウォークが設置され、間を日陰にも強い観葉植物が埋めています。クリスマスの時期にはこの林の下にイルミネーションのトナカイなども出現。それまで子供を寄せ付けなかった研究所の前庭は、子供や犬や家族連れでにぎわう居心地のいい空間に生まれ変わりました。これは惜しくも「景観創造賞」を逃した再開発プロジェクトの結果なのだとか。 大きな木がたくさんあると、そこに人が集いたくなる…のは間違いないんじゃないかなぁ。こんな再開発が他にもどんどんでてきたら東京はどれほど住みやすい街になるかなー。
by nicecuppatea
| 2009-05-06 19:37
| 都会の自然
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